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アナとオットーのninjiroのレビュー・感想・評価

アナとオットー(1998年製作の映画)
3.5
「出会いは数知れずある
僕にも大切な出会いがあった
人生で たった一度きりの
彼女の名を心に刻んだ
今、一人になった僕はさまよい続けている」

生命は循環する。
愛も同じさ。
ガソリンが切れるように終わるもの。

僕には理解できっこない。
だって愛を守る義務だってあるだろ?

私にはそれが全て。
私にとってのあなたは、パパの生まれ変わりだった。

偶然の悪戯、或いは運命が、アナとオットーのお互いの空白を埋めながら、深く深く、高く高く、愛を積み上げていく。

男女お互いの立場での視点を交互に見せることで、一方の視点だけでは理解できない部分も補完されていく。
黒澤の羅生門的な話術だが、男女2人により行われることで、若い人には鬼奴とRGのモノマネでお馴染みのバービーボーイズの男女それぞれの立場での掛け合いのそれの如く。

視点の交換のみならず、ANA、OTTOという回文で構成される名前を持った2人の運命は、映画の中で輪廻の如く描かれる。
端緒から、アナは偶然や輪廻というものに気持ちが囚われている。
オットーは自分の人生や周りの人生が偶然や輪廻によって構成されていることに無関心である。
図らずも、オットーはアナに偶然や輪廻をもたらし続ける触媒のような役割を果たすこととなる。

美しい映像と美しい構造、そして美しい子役。
アナとオットーの幼い頃を演じる子役がそれぞれまあ美しいこと。
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