和田浩治✕西河克己『小僧』シリーズ3作目(最終作)。旅先のお祭り描写も加わって更に『渡り鳥』っぽくなったが、和田の相方が殺し屋ではなく、カストロ姿の革命妄想狂ジェリー藤尾になり、和田の生き別れの父親探しと、ジェリーの海に沈んだ2億円の金塊の革命資金探しが重なって一本になっていく出鱈目度の大きな話になっている。前作に続いての由利徹のコントに加えて、坂本九、クレージーキャッツらゲスト歌手・バンドのステージの割合が増えて、映画はより華やかになり、構成が改良されて完成度も高まっている。放浪児と妄想狂の愉快な二人旅がこれでおしまいになったのは惜しい。
丁寧に撮られた初期クレージーキャッツのステージは記録としても貴重だろう。ハナ肇に代わって和田がドラムを叩くキャッツとの共演もある。1960年の映画だから「シャボン玉ホリデー」前ということになる。
1,2作目のテーマ曲に歌詞をつけた主題歌を歌うコーラスグループの名前はクレジットなし。