ベビーパウダー山崎

キャバレーのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

キャバレー(1986年製作の映画)
3.0
ヤクザをずらりと並べて鹿賀丈史が突っ込んでいく終盤。スローでメローな音楽が流れ、原田芳雄の額に穴が空き、正面に立つヤクザ(千葉真一、渡瀬恒彦、永島敏行)が銃を撃ちまくる、死体になった鹿賀丈史のポツンとした切り取り方含めて、なんとなく北野武フィルムの匂いがする。そういえば、仙元誠三の弟子が柳島克己。たけちゃんはまずこんなの見ていないと思うが、キャメラマンの柳島はどこかで参考にしたのではないかと思ったり思わなかったり(『アウトレイジ』のヤクザとか)。
豪華役者陣に紛れて本間優二akaブラックエンペラーが出演しているのが最高。その本間優二と三原じゅん子が真夜中にファックしながら貨物列車が動き出す中盤がベスト。三原じゅん子はロマンポルノで言うところの「堕ちていく女」。シナリオは田中陽造、得意の「生き死の狭間で漂う」あの感じはなかったが、出自が不幸でどう頑張っても日陰でしか生きられない三原じゅん子のキャラクターは正しく田中陽造。若い頃の三原じゅん子、乃木坂の井上和に似ている。
一流の武闘派キャメラマンと独自の色を持つシナリオ作家、それと大々的にセットを組めるバカ金、このあたりを趣味の一つぐらいの感覚でヒョイッと揃えることができる権力さえあれば、いくら監督がずぶの素人だとしても一応「映画」にはなる。凸凹していて異形の類いだけど、表現と共に生きていく決意のラストは嫌いじゃないよ。