一人旅

ミス・ファイヤークラッカーの一人旅のレビュー・感想・評価

4.0
トーマス・シュラム監督作。

アメリカ南部、ミシシッピ州の小さな田舎町を舞台に、ミス・コンテストで優勝目指し奮闘する女性の姿を描いたヒューマンドラマ。

小品だが心温まるヒューマンドラマの佳作で、原作・脚本は1981年に戯曲「Crimes of the Heart」でピューリッツァー賞を受賞したベス・ヘンリー。彼女の出身地がミシシッピ州であることから、本作もミシシッピ州のヤズーという名の田舎町が物語の舞台になっている。

本作は、ミスコン優勝者に与えられる称号“ミス・ファイヤークラッカー”に憧れる主人公カーネルの奮闘記を、彼女を取り巻く3人の男女の愛と苦悩を交えて描いた群像劇風のドラマで、魅力は何と言っても名優揃いの豪華なキャスティングにある。
主演は、ジェーン・カンピオンの傑作『ピアノ・レッスン』のエイダ役でアカデミー主演女優賞とカンヌ映画祭女優賞をW受賞したホリー・ハンター。身長160cm未満とアメリカ人女性にしては随分小柄だが、演技力と存在感はいつ見ても超一級。『ピアノ・レッスン』のエイダ役とは対照的に、本作の演技は元気満点でやたらと動く。
共演は『BTTF PART3』のメアリー・スティーンバージェン、若き日のティム・ロビンス、男の渋さムンムンのスコット・グレン。

主な登場人物としては...
・ミスコン優勝目指し奮闘する元気いっぱい主人公カーネル(ホリー・ハンター)
・カーネルの従姉で過去にミスコンで優勝した経歴を持つエレイン(メアリー・スティーンバージェン)
・エレインの弟で放浪癖&喧嘩腰のデルモント(ティム・ロビンス)
・カーネルの元恋人の中年男マック(スコット・グレン)
・ミスコンの衣装づくりを手伝う陽気な黒人娘ポップ・アイ(アルフレ・ウッダード)

ミスコン優勝のため頑張るカーネルの奮闘がストーリーの中心だが、夫との離婚を検討中のエレインの苦悩や、デルモントとエレインの姉弟間の確執、カーネルとマックの微妙な恋愛感情など、見どころとなるエピソードが散りばめられている。最大の見せ場であるミスコンシーンではホリー・ハンターの魅力が炸裂。小さな体をめいっぱい動かして華麗な(?)タップダンス+ライフル・ドリルを披露する姿は躍動的で、感動的。相当練習したんだろうなあ~。

花火を背景にしたすっきり爽やかな結末に後味がいい。人生において何かをがむしゃらに追い求めていたカーネルの、初めての心の休息・再出発の兆し。

ホリー・ハンターファンなら是非とも押さえておきたいヒューマンドラマの佳作。現時点では未DVD化だが、中古VHSならネットで超格安(¥1)で入手できます!
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