このレビューはネタバレを含みます
黛敏郎の音楽の存在感が際立っている。幕末太陽傳と名曲だなぁ。
前半、長門の中途半端っぷりにイライラした。
この若くて、よく吠えて、弱くて、意地っ張りで、ダサくて、ミジメで何者でもない男、
みたいな役の枠ってよくある気がするのだが。
いや、これはショーケンとかでみたいなぁとか。
いや、時代が違うけど。
でも誰か他にキャスティング出来ただろうと。
それぐらい長門が中途半端で。
演技も微妙、調子乗り方も、ダサカッコよさもなんか中途半端。
男として憧れない。なぜかだか。
しかし、そのキンタが便器に頭を突っ込んだまま死んだ時、
まさに犬死で、急に涙が止まらなくなった。
長門の中途半端さがここに来て効いてきた。
そして、振り返るとキンタの素直になれない、いじらしさみたいなものをだんだんと感じできた。
ショーケンとかだと特別なものになってしまうのかもしれない。
なんだか美学とか、イズムみたいなもので良くも悪くもその役が正当化されて、カッコ良くなってしまうような気がする。
キンタは本当に犬死で。馬鹿らしささえ感じる。
これが重喜劇なのだろうか。
難しいなぁ。
今村昌平の作品は自分の中に響くのに時間がかかる。
ラストは圧巻だったなー。
東野英治郎と菅井きんは一体、何回、じじい役、ババア役をやってるんだろうか笑