三隅炎雄

がんこ親父と江戸っ子社員の三隅炎雄のレビュー・感想・評価

がんこ親父と江戸っ子社員(1962年製作の映画)
2.2
有名割烹の頑固おやじ進藤英太郎と跡継ぎを拒否してサラリーマンになった長男中村嘉葎雄、二人の対立を軸としたホーム・コメディ。監督渡辺祐介、脚本瀬川昌治・渡辺祐介、『次郎長社長と石松社員』シリーズのスタッフによる姉妹編だ。
久保菜穂子・筑波久子・中原早苗の猛女三姉妹と大村文武・大泉滉・世志凡太の各干物亭主、それに叔母沢村貞子が加わって跡継ぎ問題をガチャガチャやる前半は脚本好調、生き生きとしたカメラワークと演技でおおいに楽しませる。映画に現代的な勢いがある。中村の恋人佐久間良子は溌剌とした魅力、恐喝屋と中村の対決は石松社員を引き継いだ描写で面白い。
ただ次郎長社長を引き継ぐように、進藤が藤間紫と熱海スケベ旅行へ行く辺りから徐々に調子を崩し、親子和解のハッピーエンドはいかにも雑な作劇でゲンナリする。藤間は話を転がす都合の良いキャラクターに過ぎないし、中村の料理の腕前ももう少し丁寧に描いておくべきだろう。三姉妹と叔母も後半はほとんど活躍せず、佐久間までも都合の良い古風な性格に落ちぶれてしまう。
三隅炎雄

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