むらみさ

乾いた花のむらみさのレビュー・感想・評価

乾いた花(1964年製作の映画)
3.7
「己は何のために生きているのか」
答えのないであろうこの命題からは、自身を在りのまま受け入れるか、さもなくば忘れてしまうかしない限り、自由になれることはない様に思う。

任侠の世界にいながらにして飼い殺しの状況からなのか、いつの時代にも共通の閉塞感からなのか、村木(池部良)はこの命題に苦悩する。
苦悩する池部良…!
これ程銀幕に映えるダンディズムは外にはないであろう、と思う。
(その姿は豊田四郎監督作「雪国」で演ずる書生役でも目にすることができる。正に眼福。)

危険に身を焦がして生きる実感を得ようとする冴子(加賀まりこ)に惹かれていく彼のさまは、彼の苦悩の裏のまっさらな無垢さも感じられる。
村木と冴子。
死にかたを捜す彼らを観て、「悩んでも生きていけ」と言われている様な強いメッセージが伝わる良作。
むらみさ

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