40年も幽閉された婉や、その家族の物語。
御赦免のシーンから始まる。そして常に陰鬱な雰囲気に包まれる。
諦め、嫉妬、絶望、発狂、自害。
その禍中に於いて、婉は逞しく生きて行く。
女が強いのでは無い。強い女もいる。弱い女もいる。それは男も同じだ。ただそれだけの事だ。
この作品に登場する人物たちは皆、時代に翻弄される。その中でも婉は強く、どんな逆境でも挫けない。へこたれない。生への渇望を頼りに、生き抜いて行く。
婉の瞳には何が映っていたのか。
僅少な希望か、それとも陽炎のような愛か。
婉という女は、銀幕の中で、確かな生命の躍動を見せてくれた。
生と死の狭間で葛藤し、鬩ぎ合う、男と女の物語。