Akiramovie

ハナ子さんのAkiramovieのレビュー・感想・評価

ハナ子さん(1943年製作の映画)
3.9
戦時下の国策映画により 現在では 皮肉にも むしろ反戦映画となっている。

当局の検閲を逃れつつも 明るいレビューを目指している反面、平和な日常 と 戦争を肯定する日常 の矛盾が 悲しい反戦メッセージ。

当局から押し付けられた 模範な国民生活は むしろ滑稽な茶番なのだが、家族や近所の人達の 笑顔の源泉が 戦争と矛盾していることを 戦時下においても明らかな作品なのに 検閲の意図は?
戦意高揚とは 茶番な戯れ だったとは。
"サザエさん"的な 日常を襲う 戦争の影。

・中流家庭の設定なのに 豪邸の実家 や 新婚家庭には贅沢な家。
(原作者・杉浦によれば、当時の日本映画が海外占領地での上映事情に、「日本がとてもいい暮らしをしているように見せるため故意に立派な造りにしたと推測。)
・新人社員なのに東京郊外の家から9時に丸の内の会社に向かう重役出勤シフト。
・外食・観劇などの贅沢を避け、隣組の少女達とかくれんぼで遊んでをつぶす「かくれんぼつもり貯金」する家計節約の哀しさ。
 (映画を観に行ったつもりは出てこない。)
・賞与が国債証券で支給され銀座で外食のはずが実家での お茶漬けに替わる模範国民の不思議な充足感。
・あっけらかんとした帰還傷痍軍人の扱い と 銃後の戦争認識。

主人公の夫 五郎の妹 チヨ子役 ”高峰秀子”は、当時のアイドル だったのだ。

国立映画アーカイブ 2022/11/1
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