kissenger800

ソウル・フードのkissenger800のレビュー・感想・評価

ソウル・フード(1997年製作の映画)
-
犯罪者でも中毒者でもない「ふつうの中産階級の」アフリカン・アメリカン家庭を描く作品がまだ珍しかった時代の制作、という背景込みで成立する作品ですよね。という予見はあったものの、しまった俺このあたりの時代の音楽は得意じゃないんだった、と流れてくる音楽を耳にしてようやく気が付いたりしました。
ちょっと前までのニュージャックスウィングが持っていた華やかさが、たとえばマイケル、たとえばジャネットのようなセレブリティから出発して社会全体へ浸透する。それを土台に始まったネオソウルの時代。
というざっくりした認識を持っているのですが(合っているのかどうかは知らん)さらに輪をかけてざっくりしたことを申し上げるなら、満たされた心持ちからしか生まれない・豊かさを内包した音楽、というイメージなんですよね、ネオソウル。
で、その音楽の空気がこの映画全体に漂っているように思えて、つまり甘めのファンタジーが結実するには、それを絵空事にはしないだけの「中の上な日常」でなければならず……などとしち面倒臭いことを考えながら見ていたわけではなく、監督が力を入れたという料理シーン、さすがに美味そうでいいよね。という感想が最初に来ました。
ただ、ケンタッキー・フライド・チキンの店内で過ごせる時間には限界があるのと同じで(つまり食べなくても胃がモタれるじゃないですか)(待ってそれは俺が年をとったから? そうなの?)脚本初校は360分のボリュームがあったそうですが、120分にまとめられてよかった。そんな感じですー。
kissenger800

kissenger800