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イタリア的、恋愛マニュアルのakrutmのレビュー・感想・評価

4.0
ローマを舞台にした4つの恋愛エピソードから構成される、ジョヴァンニ・ヴェロネージ監督の恋愛コメディ映画。恋愛マニュアル3部作の第1作目であり、続編として『モニカ・ベルッチの恋愛マニュアル』と『昼下がり、ローマの恋』(原題は Manuale d'amore 2, 3)が製作されている。

4つのエピソードは完全に独立したものではなく、お互いに緩くつながっていて、特にあるエピソードの終わりに登場する人物が次のエピソードの主役となる。恋愛マニュアルというタイトルのとおり、恋愛関係のある特定の時期の典型的な出来事がテーマになっていて、第1〜4話がそれぞれ若い男女の出会い(邦題「めぐり逢って」)、倦怠期の夫婦の危機(「すれ違って」)、夫婦の浮気(「よそ見して」)、夫婦の別離(「棄てられて」)を描いている。また、登場人物たちが恋愛に関する格言めいた台詞を口にするのが、コメディでありながらちょっとおしゃれ。全体的にハートフルな感じも心地よく、個人的にはかなり気に入った。

出演者はマルゲリータ・ブイ、セルジオ・ルビーニ(二人は第2話で夫婦役を演じているが、実生活でも元夫婦である)などけっこう豪華だが、個人的には第1話でヒロインのジュリアを演じたジャスミン・トリンカが一押しである。華があるとまではいえないけれど、その美貌は特筆もの。高校生の頃にナンニ・モレッティにスカウトされて映画デビューしたが、そのときは女優を仕事にするつもりはなく、大学では考古学を専攻していたとのこと。相手役のトンマーゾを演じたシルヴィオ・ムッチーノが役柄と同じ子供のような憎めない感じの若者で、恋人というよりは母親のような感じで接していたとか。シルヴィオ・ムッチーノは、第4話の主役を演じたカルロ・ヴェルドーネと本作で知り合い、翌年には彼とともに映画を製作している。そのほかには、第3話で府警を演じたコメディエンヌのルチャーナ・リッティツェットや、トンマーゾの姉役のアニータ・カプリオリも印象に残る。
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