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コングの復讐のうにたべたいのレビュー・感想・評価

コングの復讐(1933年製作の映画)
4.2
初代キングコングの続編映画。
前作キングコングの大ヒットを受けて作られた作品で、監督のアーネスト・B・シェードザックを始め、脚本、製作、音楽など、多くのスタッフが前作から引き続き担当しています。

前作で興行目的でキングコングをNYに連れてきた「カール・デンハム」は、被害を受けた多くのNY市民から損害買収を求められて生活に困窮していた。
同様に船を差し押さえられた前作の船長「エングルホーン」は、再起をかけてデンハムを誘い、東南アジアへ交易に出かけるも、思ったような成果はあげられなかった。
そんな中で立ち寄った見世物小屋で、小猿のショーと共に「ヒルダ・ピーターソン」の歌を聞き、デンハムはヒルダの声に聞き惚れる。
その後、村の酒場で、かつて髑髏島の地図を譲ってもらった「ヘルストローム」に偶然出会う。
ヘルストロームが言うには、髑髏島には原住民の宝が隠されている、と、それを聞いたデンハムとエングルホーンは、ヘルストローム、それと船にこっそり乗り込んだヒルダと共に、再度髑髏島を目指す、という展開です。

前作と同じキャストでデンハム、エングルホーンが再登場します。
前作ありきの内容のため、前作は見ていたほうが楽しめると思います。
なお、前作でキングコングにさらわれ、エンパイア・ステート・ビルに登ったアン・ダロウや、その恋人役のジャック・ドリスコルは登場しません。
前作では映画監督だったカール・デンハムが、本作では主役となります。
ヒロイン役はヒルダですが、本作登場のコングは前作以上に友好的で物分りがよく、ジャングルの奥地までさらわれるようなシーンもないです。
タイトルこそ『コングの復讐』とありますが、前作でひどい目にあわされたコングがデンハムに復讐するような内容ではなく、髑髏島でコングの息子であるらしい新しいキングコングと、デンハム、ヒルダの交流を描いた作品でした。
原題は『Son of Kong (コングの息子)』ですからね。
邦題にするにあたって注目されるタイトルにしたかったのかと思いますが、殺されたコングの復讐は行われないので、看板に偽りありだと思います。

前作は名作でしたが、本作はどうかというと、正直微妙な内容だったと思います。
悪くはないのですが、コングが友好的すぎて、迫力や緊迫感が無いんですよね。
一応、そんなコングのバトルシーンもあるのですが、何と戦うかというと、大きなクマさんです。
君のお父さんは美女を抱えてエンパイア・ステート・ビルに登って伝説になったんだよと、聞かせてあげたい気持ちになりました。

前作の大ヒットにも関わらず、前作を更に下回る低予算と短期間の撮影スケジュール、更に脚本家があまり乗り気になかったこともあってか、本作の評価は高くないです。
ただ、前作以上にコメディ色が高く、ハートフルなストーリーになっているため、子供でもわかりやすくて安心して見られる作品となっています。
また、ストップモーション・アニメーションは引き続きウィリス・オブライエンが担当していて、前作よりは劣るものの、グリグリなめらかに動くコングは一見の価値ありと思いました。
白黒映画ですが、テンポも良く、前作のキャラクターが登場する懐かしさもありました。
キングコングを見てよかった方は本作もおすすめします。