CANACO

召使のCANACOのネタバレレビュー・内容・結末

召使(1963年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

ジョセフ・ロージー作品初鑑賞。「パラサイト」の監督が影響を受けたらしいとレビューに書いてあったので観たが、同監督が影響を受けたのは故キム・ギヨン監督で、「下女」という作品とのこと。

文字通りの独身貴族・トニーの家に、バレットという何でもできる召使が来た。トニーの期待以上に仕事をこなすバレットと、酒と薔薇の日々を送る(=生活力ゼロ)トニー。はじめはうまくいっていたが、トニーのフィアンセだけは不満顔。しかし、バレットの依頼により、彼の妹・ヴェラも雇ったあたりから全体的にいびつな展開に……。

召使のバレットのキャラクターはなかなか複雑なので、「召使物」として観てもいいとは思う。ただ、気持ち悪い。ヌルヌル・グチャグチャの映像はないが、人間関係がじっとりしてて、観ててあまり楽しくない。

あと、誰にも共感できない。完全な被害者役であるべき、トニー(ジェームズ・フォックス)は、とにかくメンタルが弱く、親のお金だけで生きている依存症のため、「こうなっても仕方ないよね感」が漂う。デヴィッド・ボウイと渡部篤郎を足して二で割ったようなイケメンなのに残念。

多くの人がふれているトニーとバレットの同性愛だが、自分はそこはあまりピンとこなかった。誰にも共感できないからどうでもよくなっちゃったのかもしれない。

後半になるにつれデガダンなムードが濃くなっていくが、完全に上下が逆転した後半に、悪役のバレットが「ちゃんと片付けなさいよ」と超正論言っちゃうのに笑った。ほんとそれ。この監督が描きたかったのは、階級への皮肉? 没落貴族の成れの果て? 
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