matchypotter

男はつらいよ ぼくの伯父さんのmatchypotterのレビュー・感想・評価

4.1
さくらちゃん、大奮闘。
素晴らしい素敵なお母さん。こんな母親の思いも知らずに邪険に扱う年頃の浪人の息子、満男。

そんな満男と、、、なぜだかどこ吹く風の風まかせに生きるおじさん、寅さんに憧れる満男の恋の話。
吉岡秀隆、満男、ついにこのシリーズでもそういうことになってきた、何とも感慨深い。

『男はつらいよ』シリーズ、第42作。
団子屋のおばちゃんも老眼鏡なんかかけ始めちゃって、すっかり時の流れも感じる平成元年の話。

年頃で恋も人生もあれこれ悶々とした考え事の多い満男、そんな満男の扱いに悩む母親。
いつの時代も、どこの家庭にもある答えがあるようなないような。繊細なような単純なような。

そんな時に現れた寅さんが、博もさくらちゃんにも手を焼く満男を「俺が話聞いてやるか」と満男を連れ出す。

連れ出して、「お前、酒の飲み方も知らねぇのか」と熱燗の飲み方をツラツラと講釈垂れる、、、笑う。笑うけど、なんか良い。
酒の飲み方って、実はこんな風に教えてもらえることってなかなかない。

自分の叔父さんが寅さんだったらと思うと楽しい気もするし、ゾッとする気もする。
イチイチあれやこれやと世話焼かれるのも嫌だけど、とはいえ、寅さんにしかできない話や人の扱い方がある。

未成年に酒飲まして「こいつはちゃんと育ってるぞ」と酔っ払って息巻く寅さんと、酒飲まされて元気付けられて陽気にさせられて家に帰れば博とさくらちゃんに説教くらって二日酔いでさらにヘコむ満男。

、、、恋する満男。
この満男の恋心がまた何とも純粋。女性に対して抱くやましい気持ちを“美しくない不純なモノ”だと言い切り、あたかも自分がろくな人間ではないと決め付け、、、満男、ついに、旅に出る。

寅さんと違ってバイクで飛び出すあたりがこの時代の象徴的な“家出息子”の感じ。

これまでは寅さんの団子屋への凱旋による旅の話と、新たな旅に出る伝統的なお家芸のような王道の展開だったが、今回はついに満男が、新たな旅の物語を作る。

夏木マリ、もう既に綺麗でカッコよくて仕上がってる。
満男、思い女を追って、、、名古屋経由で一路佐賀へ。

いつもの笹野武史がどこで出てくるかと思ったら今回はそこか。なかなかカッコいい登場じゃないか。
と思ったら、ちゃんとオチがつく。満男、これも、旅の経験だ、良い思い出だ。

そして、その満男の思い女、後藤久美子。
かつての博とさくらちゃんの初々しい物語があったように、とはいえ、寅さんがお見合いとか結婚式で散々だったけど、ここから次の世代の初々しい物語の幕が上がる、そんな素敵な作品。

手紙に寂しいって書いてあるから飛ばして来たんだ。
いざとなったら駅でも寝るさ。

なんて、カッコつけちゃう満男。
、、、で、安宿で相部屋かよ、えー、みたいな展開で渋々相部屋行くと、、、おい、神展開で笑う。やっぱり世間は狭い。

寅さんと満男、九州の佐賀で。
2人ともウブだが、一方は風まかせ、一方は家出息子。
葛飾柴又の団子屋で育った二世代の放蕩息子が、恋の大勝負。

いきなり押しかけて彼女を預かるご家庭に迷惑千万だと言われながら、迷惑はかけたけども寂しいという人にここまで会いに来た満男のしたことは間違っちゃいない、むしろ褒めてやりたい、と静かに丁寧に啖呵切る寅さん、めちゃくちゃカッコいい。

これぞ、、、これぞ、寅さん。
なんだかんだと妹のさくらちゃんや団子屋の連中に心配されながら、他人の心配事には親身になって手を焼く。

寅さん、あんた、見上げたもんだよ、屋根屋のふんどし。
めちゃくちゃ良い作品。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
TSUTAYA DISCAS運営の映画コミュニティサイト「Discover us」にて同アカウント名でコラムニストをさせて頂くことになりました。
https://community.discas.net/announcements/ib1wyncr43idknqm
別視点で色々映画について書いていこうと思います!ご興味ある方は是非お待ちしております!
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


F:2268
M:1877
matchypotter

matchypotter