ベビーパウダー山崎

アフターグロウのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

アフターグロウ(1997年製作の映画)
3.5
終盤にニック・ノルティが娘であるかも知れない少女に近づき、ただ謝り涙する。四人がそれぞれの決断を下し、Tom WaitsのSomewhereがじっとりと流れる。もうこれだけで十分。ビデオの裏ジャケに書かれた「ハリウッド版失楽園!」という安い煽りもあながち外れていないというか、それなりに退屈で凡俗な二時間を超えて、見えてきたのは過ちを受け入れた彼彼女らの剥き出しの姿、すなわちこの敗北こそがアメリカ「映画」。アラン・ルドルフ、ロバート・アルトマンほど上手くないのは百も承知で、その不器用さをおれは愛してる。
役者に自由を与え、遠くのキャメラが役者の顔(表情)に段々とズームする師匠(アルトマン)譲りの演出ははいつものことだが、本作はやり過ぎなほど繰り返されていて、これに音楽が乗っかればポール・トーマス・アンダーソンっぽく見えるような気もして、97年はすでにPTAもデビューしているので、もしかするとルドルフがPTAの手法を真似た恐れもあるなあ(ルドルフならやりかねない)となんとなく思ったりも。