群青

ハリウッドランドの群青のレビュー・感想・評価

ハリウッドランド(2006年製作の映画)
3.2
意外にもレビューが少なくびっくりした。なんでかというと今見ると中々オツな作品なのです!笑


スーパーマンの呪いとは?


1959年間一人の男が自殺した。
彼の名はジョージ・リーヴス。彼はスーパーマンの役で一躍子供たちの注目の的だった。そんな彼が自殺?
彼の死は本当は他殺かもしれない。そう思って一人の探偵が事件を捜査する…するとハリウッドの裏に隠された陰謀が見えてくる。


スーパーマンの呪いとはジョージ・リーヴスの自殺を筆頭に、スーパーマンに関わると何かしら起きてしまうというジンクスのことだ。
しまいにはリチャード・ドナー版のスーパーマンであるクリストファー・リーヴも下半身不随になるという事故が起きている。

呪いに関しては、他の様々な呪いと同じで、そこだけに注目してしまうとたくさん事件が起こってしまってるような気がするのだが、やはり呪いと考えるとおちおち近づけないものだ。その呪いをはねつけるが如く果敢に現スーパーマンを演じているヘンリー・カヴィルは凄い。
凄まじいプレッシャーだと思う。
強いて言えば評価面で呪いを受けているのかもしれないが^^;


ストーリーはジョージ・リーヴスの自殺までを描いたものと彼を捜査する探偵の2つの時系列で進む。捜査する内に探偵の心身にジョージ・リーヴスの当時の思いが染み込んでいく流れはなかなかしみじみとする。


人に胸を張って言える役が風と共に去りぬだけだったジョージ・リーヴス。彼はキャリアのために無我夢中になり、スーパーマンの役もステップアップとして演じる。当初は低視聴率でお役御免になると思っていたジョージだったが、その意に反して子供達から熱狂的な支持を受けていく。
彼は最初こそスーパーマンとしての地位を守る。しかしその次に何を演じてもスーパーマンと呼ばれてしまう。彼の心は誰にも分からなくなっていく…

探偵のシモは彼を捜査する中で幾つかの仮説を立てる。仮説した死亡までの流れを合計3回流すのだが、流れていく中でシモはあることに気がつく。

この着地は作品としてジョージ・リーヴスの死を丸投げしたものと捉えてもおかしくはないが実話のため仕方がないといえば仕方がない。実話とフィクションをうまく混ぜたと思う。
何より生活が荒んでいたシモはジョージに頭の中でだけ出会うことによって大切なものが何なのか気がつく。ジョージが得られなかった大切なものが何かを。そんなドラマが胸を打ったので全然良かった。


とまあごちゃごちゃ書いたけど凄いのはこの作品のスーパーマン役であるジョージ・リーヴスを演じているのはベン・アフレックなのでありますよ!

彼がスーパーマンの服を着て青と赤がダサいとか、最初は白黒だから色を強調するために灰色と黒のスーパーマンスーツを着てなんだかなぁとボヤいている画面とか、今現在の彼を思うと驚きましたわ笑
ああ、すげえ。彼がこの10年後にバットマンやってスーパーマンと戦うんだからなぁ笑


そしてこの作品は同時にベン・アフレック自身の話でもあるんですよ!


親友、マット・デイモンと一緒にこの世界で注目されたはいいがその後の作品に恵まれなかった。アルマゲドンやパール・ハーバー(こちらは未視聴。すみません。)は売れたはいいが演技面では微妙。ちょっとおバカなあんちゃんみたいなイメージがついていた。彼自身が大ファンであるデアデビルは結果的にラジー賞主演男優賞も取っちゃう。ハリウッドから見放された彼は今作で起死回生を狙う。

ハリウッドの呪い(スーパーマンの呪い)に自分自身の力で挑んだ彼は、この作品でゴールデングローブ賞ノミネートまでいく。なんというドラマだろうか。かっこいい。

結果的にはポストクリント・イーストウッドまで言われるまでに作り手として評価されつつあるベン・アフレック。
そんな彼の苦悩をジョージに重ねると面白いかもしれない。
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