ペコリンゴ

その名にちなんでのペコリンゴのレビュー・感想・評価

その名にちなんで(2006年製作の映画)
3.8
記録。
託した想いと無限のチャンス。

今から15年前、アメリカ・インド合作。
インド系アメリカ人の原作をインド出身の監督が映像化した家族ドラマ。

インド・カルカッタからアメリカ・ニューヨークに移住してきたインド人夫婦と、その間に生まれた移民二世の子供、それぞれの人生を描いた作品。

アメリカで生まれた息子につけられた名前はゴーゴリ。これはロシアの作家ニコライ・ゴーゴリに因んでおり、父が列車事故から救い出された時に手にしていたのがニコライの著作「外套」だった。成長したゴーゴリは、変人として知られたニコライに由来する自分の名前を嫌悪するようになる…。

アメリカに移住してなお故郷の伝統を重んじる両親(特に母親)と、両親ともにインド人ながら、アメリカで生まれ育った息子。ルーツとアイデンティティの物語を名前というテーマを主軸に描く技巧。

親は日本人で日本で生まれ育った純日本人である僕は恐らくこの作品の核心には触れられていないと思う。けど、それをさっ引いても、見合いで結ばれた男女がアメリカに移住し子をもうけ、子が成長していく過程を綴ったドラマとして良い鑑賞経験であることは間違いない。

昨年惜しまれつつこの世を去った、父親アショーク役のイルファーン・カーンや、母親アシマ役のタッブー、ゴーゴリ役のカル・ペンと、俳優陣の演技は皆素晴らしい。

親の大いなる愛を感じる作品でした。