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憲兵とバラバラ死美人のhorahukiのレビュー・感想・評価

憲兵とバラバラ死美人(1957年製作の映画)
3.4
仙台 vs 東京

8月は心霊⑧

井戸の中から出てきたバラバラ死体の犯人捜査を巡って、仙台憲兵と東京憲兵がどっちが早く犯人捕まえられるかっていうくだらないバトルを始めるホラー風味のミステリ。東京はそれなりに捜査するんだけど、仙台はテキトーなやつ捕まえて拷問して自白させようとするクズっぷり。

東京の方も何かふんわ〜りしたそれっぽい事柄の積み重ねで犯人と断定しちゃってたし、どっちもどっちではあるんだけど、捜査開始して1ヶ月経ってやっと内部の目撃者が見つかるという仙台憲兵のスローペースすぎる捜査はクソ過ぎて東京が超仕事できるやつに見えてくる。そもそも仙台憲兵の施設で死体見つかってるんやから、まず自分らの内部で見た人おらんか探すのが普通なんじゃないの?

東京にしても仙台にしても、当時の捜査における杜撰さを批判するような両成敗的な社会派な落とし所へと持っていくのかと思いきや、特にそういっところもないというゆるふわ感が味になっててたまんない。

確かにバラバラ死体が出てくるんだけど、残虐性は特になく、新東宝にしてはエロもグロもなく大人しめ。ただ、顔を映さずに相手役のリアクションで画面を進めていく殺害シーンが面白く、行動とモノローグで語られる内面の相違の気持ち悪さも良い感じ。そして自分の中の罪悪感に怯える心霊映画としての見せ場もしっかりと持ってくるあたりは手堅く作られてる印象。薄味だけど、面白かった!
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