mare

コルチャック先生のmareのレビュー・感想・評価

コルチャック先生(1990年製作の映画)
4.5
コルチャック先生の子供に向けられる眼差しがひたすらに優しく、彼らの安泰を願うがために苛烈な時代に逆行していく人道主義を重んじる崇高な映画。自分の生まれた時代がこんな有様だったら世界の全てが地獄に見えてしまうだろう。コルチャック先生が己の全てをかけて一日でも多く精一杯生きれるようにと作り上げた200人の子供たちが手を取り合う希望の国。彼らにとってそこが唯一のパラダイスであり友情であり恋であった。ポーランドにこんな英雄がいたことを忘れてはならないと心から思う。アンジェイ・ワイダからの深く訴えかけてくるメッセージが全編を通して伝わってくる。史実と比較するとこの映画では描かれない目を瞑りたくなる真実がいくつもあるが、音楽の使われ方やファンタジーの挿入を見ていると琴線を揺さぶる重厚なドラマとしてこれ以上ない形で表現されていてワイダの祈りと重なっているようだった。
mare

mare