愛だ。
子供たちへの愛が伝わってくる。
大いなる困難に立ち向かう姿が胸を打つ。アンジェイ・ワイダ監督が、ポーランドの実在した教育者コルチャック先生を描く。
ナチスドイツの侵攻が、どんどん苛烈になっていく。
「先生は生き延びなければならない」周りの大人たちの意見を一蹴し「子供たちと運命を共にする」そう言うと、コルチャック先生は笑った。
子供「先生、自殺しようと思ったことは?」
コルチャック先生「何度もあるさ」
コルチャック先生が、所々でロビン・ウィリアムズに見えて仕方がない。子供たちと真正面から向き合って、心で接するその姿がなんだか嬉しい。じんわりと熱いものが幾度となく胸に込み上げてきた。
ユダヤ人の孤児院。ここでは先生ですら裁かれる。
子どもにだって訴える権利があり、揉め事は自分たちの法廷で解決する。
法廷侮辱罪もある(笑)。
議会まである。
自分より幼い子に借金を返済する子。
想いを寄せる男の子にツラくあたられても、その男の子は(別の女の子に)恋してるからと訴えない女の子。
なんという子供たちだろうか。この子たちが大人になって築いた社会を見てみたかった。
誇りを捨て、子供たちのために生き延びる。困難に立ち向かうコルチャック先生。絶望の淵にいる皆を奮い起こし、たとえ明日が見えなくても、その歩みを止めようとしない。やがて絶望の臭いが充満するゲットーに、運命の日が訪れる。
信頼する先生に連れられて遠足に出かける子供たちの中には、年端のいかない子までいる。怖い思いをさせまいとする先生たち。胸を張り、ダビデの星を掲げ、手を繋いで歩くその姿は、今思い返しても胸がつまる。その行進は涙でよく見えなかった。
そして、ああ、なんというラストシーン
思いもよらなかった
こんなシーンがあるのだろうか
その美しさに涙が止まらなかった