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初恋のきた道のtakeachanceのレビュー・感想・評価

初恋のきた道(1999年製作の映画)
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シンプルなストーリー。
美しい自然の中での純粋な少女の表情と行動以外は、
ただの雑音でしかない。
ディ(チャン・ツィイー)のイメージビデオと言っても過言ではない。

父の死を聞いて、ユーシェンが村へ帰り、
母親や村長と話をする場面はモノクロ映像なのに、
ディとチャンユー先生との初恋のなれそめが始まると、
画面は突然美しいカラー映像に変わる。

2人の初恋の物語が終わると、再び現実の世界になり、
またカラーからモノクロの映像に逆戻りする。
通常なら時系列で、古い方がモノクロで
新しい方がカラーとなるのが自然のような気がするのに、
監督はあえてここを反転させている。それは何故か。

理由を考えてみたが、この映画の主観はディ。
チャンユー先生と出会った世界はカラーで、
彼が存在しない世界はモノクロ、
つまりディの絶望の深さを描いているのではないかと思った。
愛する夫がいない世界に色彩などないのだ。

監督が画面の中に映画『タイタニック』のポスターを
あえて挿入した意図は、
この映画もまた「身分の違う男女の悲恋」を描いたことを
物語が始まる前に先立って視聴者に予告したかったのかなと想像した。
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