よーすけカサブランカス

レッド・ドラゴン レクター博士の沈黙/刑事グラハム 凍りついた欲望のよーすけカサブランカスのレビュー・感想・評価

4.0
サイコパスを追う捜査官がサイコパスへ変わってしまう、むしろそうでなければ捕まえられない、というのは「羊」や「マインドハンター」といった傑作よりも随分前にここでしつこく描かれている。犯人を想像して語りかけている時点で相当ヤバいグレアム。中盤までは相当優れたスリラーだった。
画としての演出も結構凝っていてブライアン・コックス演じるレクターは良かったしダラハイドの悲壮感のある非モテ中年ぶりもよかった。何よりパンストを被るというビジュアルもシンプルながら不気味で良い。
ただ音楽が非常に邪魔だった。頻繁に差し込まれるポップスはスリラーの緊張感を削ぐ。あと最後グレアムが考え無しに窓へ突っ込んでいったのはちょっと意味が分からなかった。後に「コラテラル」や「ヒート」を撮ることを考えるとそれが流行りだったのか、反省したのか……。
捜査の描写はなかなか緻密だったし全体としては好き、といえる作品。