Eのつく人

時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!のEのつく人のネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

前作でブルーノ・ガンツの隣に立ってクールな表情をしていた天使カシエルが今作の主人公に。とにかくこのカシエル、ダミエル以上に純粋過ぎる。子供のように純粋で優しく、無垢。だから平気で騙されるし、汚い人間にもみくちゃにされて一時は人生に絶望してしまう。それでも純粋に人を愛し続けるが、人の死にあんなに苦しんでいたのに知らない間に殺しに手を貸しそうになる。美術館で見た天使の絵、ナチス時代の美術館で苦しむ天使達。天使時代と現在が交互に映される演出が良かった。その他、証明写真を撮るカシエル、拘留されるカシエル、バイクに乗るカシエルなど色んなカシエルを見れたけど、結局前作の自殺しようとする青年の背中を摩り、寄り添い、救おうとしたのに救えなかったことを嘆き悲しみ声を上げるカシエルのワンシーンほどのインパクトは無かったかなという印象。
最後、彼は人間に撃ち殺されて死んでしまう。その姿はまさに撃ち落とされた天使。けれど、ダミエルの耳にまた音が聞こえた。
そのセリフだけでカシエルがまた天使に戻り、彼の死を悲しむ人々の傍に寄り添っているのだと分かる。だからバッドエンドじゃない。

追記 カシエルは自分の存在をダミエルに教える際に耳にフーっと息を吹きかける。すると人間でもその音を聞くことができ、天使がいると分かる。時たま、誰かに手を触られたような錯覚をすることがあるけれど、あれはもしかしたら天使が手を握ってくれてたのかもしれないと勝手に思っている。
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