要

ストーカーの要のレビュー・感想・評価

ストーカー(1979年製作の映画)
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この監督の水を使った演出が好き。まどろむ感じで気持ちいい。

ゾーンや部屋は何らかのメタファーとして存在しており最後までその正体が明かされることはない。というか如何様にも取れるようになっていて、だからこそ難解。個人的にはゾーン=潜在意識と考えるのが好き。「部屋」は希望であり救いであり、目を背けたい真実でもある。謎を残したまま美しく輝く、自然界に畏怖を抱くようなもの。

そして『ソラリス』同様、やはり「内面的な救済」というのはこの映画でも重要なキーワードだと思う。内面の幸福、内在神的な。ところどころには文明批判や、その時代の体制批判と取れる部分もある。

暗号的に描かざるを得なかった時代背景もあるはず。聖書の引用や出てくるモチーフからして、もし自分が同時代を生きるロシア人だったらもっと理解できるのかも。皮肉なことではあるけど抑圧された環境で生まれる芸術って美しいなと思う、人間の強さが滲み出ていて。

「ストーカー」というのは作中ではゾーン案内人の総称、蔑まれている職業のようだ。作家/科学者は、思索や芸術/知性や科学の対比で、それぞれ違った角度で世界を見て、人間の幸福とは何か追求している。ゾーンをほぼ「信仰」しているストーカーが二人を秘められた場所へと導いていくのが象徴的で、三者の会話はさながら一人の人間の脳内会議のように思えた。
「部屋」に対する考えは三者三様だが、結局3人とも・・・。

荒廃した街や隔離されたゾーンの様子、障害を抱えた子供などからチェルノブイリがよぎるけど、事故は映画公開後。
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