いつの間にか抜け出せなくなっている日常という無限の円環。その中で様々な外圧に晒され、疲れ果てた私たち。でも意外なところに抜け道があるかもしれない。あれこれ考えず直感でそこへ逃げ出そう。物理的なキョリと時間が心を再出発へと導いてくれる。そして日常に戻ると、そこにはホッと安心するような空気が新鮮に漂っている。
ラストシーンで少年が奏でたドビュシーの「月の光」。この曲はヴェルレーヌの詩からインスピレーションを受けて作曲されたという。
月の光
あなたの魂は、選び抜かれた風景、
仮面も、ベルガモの曲や踊りも魅力的、
リュートを弾き、踊り、ほとんど
悲しげ、気まぐれな仮装の下で。
短調の曲想に乗せて歌うのは、
勝ち誇った愛と巡り合わせのいい人生、
でも、幸福を信じているようには見えない。
彼等の歌が、月の光に溶け込んでいく。