ーcoyolyー

海と毒薬のーcoyolyーのレビュー・感想・評価

海と毒薬(1986年製作の映画)
4.5
最近やっと『サンダカン八番娼館 望郷』観て、これも観て、私ずっと熊井啓監督の芸風って取り上げるテーマがテーマなのでもっとくだらない御涙頂戴な情緒たっぷりの押し付けがましいウェットなお勉強野郎的なものだと思ってたんだけど全然違って、すごく冷静で、冷静に怒っていて、問題の本質を外さないように掴み損ねないように踏み外さないように冷静さを保ちつつそれなりに洗練されている映画を撮る人で、なんかごめんなさいってなってる。

原作の発表時期とモノクロフィルムだということでもっと古いと思ってたのだけど渡辺謙か出ているのであれ?と調べたら意外や80年代の映画で、60年代の映画だと思っていたものにその時代にはデビューしてない俳優が紛れ込んでいるような不思議な感覚になって映画を眺めていた。

若かりし渡辺謙はルックスは息子の渡辺大とそっくりなのはまあそうなんですけど、それよりも存在感やオーラなどトータルパッケージで見ると平岳大とそっくりで驚いた。逆に言うと渡辺大に足りないものがこれ。あの人顔の造作や体格は父にそっくりでも雰囲気がないんだ。平岳大の持つ雰囲気って二世として育った葛藤が漏れ伝わる雰囲気なんだけど、二世でもないこの時代・年代の渡辺謙がそれを醸し出していて二世として育った渡辺大がそれを纏ってないのも不思議ではある。私何度も渡辺謙と平岳大を見間違えたんですよ。渡辺大と見間違えるならともかく他人の息子ですよ。名優と大女優の息子ではあるけど。この現象が何で起こったのかと考えてみたんだけど、ここでの渡辺謙は医学生役だからブラウン大学数学科卒業の平岳大の実像に近い役作りに結果的になっていたんだろうか。渡辺大と何が違うって渡辺大頭良さそうな雰囲気ないな、という身も蓋もない結論になりました。
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