観た。
終始息が詰まりそうだった。
人間の良心とはどこにあるのか。
終戦間際の米軍捕虜の生体解剖実験を元に作られた、遠藤周作の原作。
手術のシーンは直視出来なかったけど、医師達の汗や息遣い、言葉で緊迫感が凄まじい。怖くすらある。
奥田瑛二が演じる勝呂の葛藤。おばはん患者を治療する事に、唯一の生を見いだそうとする姿。岡田真澄に尋問される様子も、見ていて辛い。
同僚の渡辺謙がまた凄い。感覚が麻痺していく若い医師。目は鋭いけれど、どんどん感情がなくなっていく。流石の存在感。
モノクロの映像の重厚感、音楽の効果的な演出。映画としての説得力がある。
空襲のシーンはただ恐ろしい。
この問題作をどう消化すれば良いのか、まだ自分でも整理が出来ない。自分だったら、あの立場のどこかにいたらどう行動したのか。その事を考える事が、この作品に触れた意義なんだと思おうかな。
岸田今日子の不気味さも流石としか。
熊井哲、脚本・監督