ほーく

座頭市のほーくのレビュー・感想・評価

座頭市(2003年製作の映画)
5.0
北野武作品に共通しているのは、無機質な死となんの脈絡もなく挿入されるギャグだ。
この作品では、CGを多用してその無機質な死を効果的に表現している。
彼の作品の多くは、この無機質な死がテーマだ。なんの訪れもなく死んでいく。血のりはCGなので余計無機質だ。逆に手足が切り飛ばされるシーンも絵空事に感じる。彼が今までの作品で一貫して描いていた死の描写だ。
また、今回も役者陣が豪華だ。岸辺一徳、柄本明、浅野忠信、石倉三郎、遠藤要次、六平直政、など、もう北野武映画だから、積極的に俳優達も重厚感を出してくるは、あっさり死ぬところは北野武らしいし、ちゃんと女形で早乙女太一。ああ、たけし軍団もガダルカナルタカ、つまみ枝豆ほかでギャグシーンで活躍している。
 また、二家木辰己による殺陣がすばらしい。年齢制限がかかっているので若年層は観ないほうがいいが、北野武作品は、無造作に死が訪れているのと脈絡もないピントのずれたギャグが一貫してしている。今回ははこれほどかというほど、ギャグが挿入されている。そして圧巻なのは、クライマックス後のパフォーマンスだ。「ましろのおと」で言及されたことで、それも楽しみだったんだが、あれ、本編に全く関係ないよね。まあ、野良仕事や建築場面でそのリズムは映画のスパイスになっているんだが。
 それと町民文化のdetailが素晴らしい。お座敷芸などは、遊び人@ガダルカナルタカが平気に通っていたところを見ると化政文化だろうか。
 とにかく、今度も監督・脚本・編集と北野武は作品を練り上げた。素晴らしい。これもお薦め★5つだ。そりゃ、ベネチア国際映画祭で監督賞取れるだろうよ。
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