ベンジャミンサムナー

座頭市のベンジャミンサムナーのレビュー・感想・評価

座頭市(2003年製作の映画)
2.5
 登場人物の多さの割にはそれらが物語に機能してない。

 勝新版『座頭市』の一作目はヤクザに雇われた用心棒との対決がクライマックスだったが、本作はラストで正体が明らかになるくちなわの頭を成敗する場面がそれにあたるので、まず用心棒役の浅野忠信の存在が希薄。

 さらに、くちなわの頭に両親を殺された姉弟をじっくり描いておきながら、彼女らの手で両親の仇を取るどころか頭の正体を知らずに終わるのでそこのカタルシスも弱い。

 そもそも本作の市がヤクザと闘うことになる発端は、丁半博打で相手にイカサマされたことからのゴタゴタだから、街の人たちがヤクザに苦しめられてるとか先述の姉弟の復讐だとかの設定が意味を成してない。

 合間に挿入される農民らのビートを刻むような動きやラストのタップダンスも内容と噛み合ってない。
 ポップな時代劇をやるんだったら、『座頭市』じゃなくて最初から『鴛鴦歌合戦』とか『ジャズ大名』みたいな時代劇をやれば良かったんじゃないか?