容赦のない暴力描写やユーモアなどの北野武らしい要素を前面に押し出しつつも、しっかり「勝新太郎とは別の座頭市」として昇華させているのが好感。
肝心の殺陣は流石にカツシンほど超人的ではないものの、演出でしっかり工夫しているのでとにかく見せ方が上手い。話もシンプルに収まっていて見やすいし、カツシン版へのリスペクトも感じられたのがグッと来る。有名なタップダンスの描写など時代劇として不自然な部分がちらほらあるんだけど、そういうところも意図的に『作風を生み出すための演出』として堂々と盛り込んでいるのが好き。
座頭市といえばやはりカツシンだけど、こちらも素直に面白いと言わざるを得ない。座頭市らしさを踏襲した上で、これまでのものとは全く異なる座頭市像を作り出した秀逸なリメイク作品。