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座頭市のmitakosamaのレビュー・感想・評価

座頭市(2003年製作の映画)
3.8
公開時の初見の印象は「予想していたより全然時代劇してる」だった。
前情報が金髪座頭市に下駄タップだったからねぇ。正直もっとインチキ時代劇と割り切った面白キャラ映画になるのかと思ったよ。

そしたら割とちゃんとしてた。
そもそも勝新の座頭市が先にあり、イメージが固まっていたので差別化は難しいだろうなと思ってたけど、その辺の見劣りも無かったな。
勝新が殺陣の名手であることは今更でもないが、意外なことにたけしの殺陣も思いのほか上手い!単純にスピードがありキレもあるが、それ以上にカメラワークも込みで上手いんだよな。たけしの引き出しの多さに改めて感心したわ。

何より、たまには映画でちゃんと黒字を出さないとイケナイと思ったのか、娯楽作と割り切った作品を作ったことを評価するよ。
あのまま、一部のファンだけに向けた作品を作り続ける作家になることも出来た筈だ。(そしたら押井守のようになったと思う。)
監督として国際的評価を得た後に、この方向転換は結構チャレンジャブルだと思う。普通は逆だからね。

ただ、浅野忠信との対峙の時にカメラがぐるっと回る所。(バレットタイム撮影)下駄タップ中で大人から子供にモーフィングするシーン。こういう比較的新しい撮影技法も取り入れはもしてるが、正直浮いてるなぁ。

チャンバラでは血をCGでも表現してるが、出来にバラつきがある印象。
石灯籠を刀でぶった切るのは、色んな意味で凄過ぎて思わず変な笑いが出ちゃったけどね。

なんやかんや言ってワクワクする面白さに満ちてる作品だわ。下駄タップも超楽しい。トップクラスのタップダンサーをこういう形で活かしたのも たけしならではだね。
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