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1900年のHKのレビュー・感想・評価

1900年(1976年製作の映画)
4.5
エンニオ・モリコーネ追悼(その8)
このベルナルド・ベルトルッチの5時間を超える大作を観るのは37年前の劇場公開時以来です。
長尺のため、当時の前売券は第1部と第2部が分離できて2日に分けて鑑賞できました。
今回はブルーレイの一気見。

1901年の同じ日に生まれた裕福な地主の子アルフレード(ロバート・デ・ニーロ)とその使用人である小作農の子オルモ(ジェラール・ドパルデュー)の2人の人生を、20世紀のイタリアを背景に絵画のような映像(撮影ヴィットリオ・ストラーロ)で壮大に描いた作品です。
ベルトリッチはパゾリーニの弟子だけあってエグイ描写もチラホラ。
そして、〇ンコのオンパレード。(答えは複数。ワンコではありません)

それにしてもデ・ニーロ(公開時33歳)が若い。この2年後に公開された『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』と比べると若すぎます。
おかしいと思ったら日本では海外より6年も遅れて公開されていました。
実質『ワンス・アポン~』とは公開時期が8年違い、撮影時期となるともっと離れていたようです。どうりで10歳くらいは違う印象だったわけです。
デ・ニーロは撮影時まだ『ゴッドファーザーPART2』も『タクシー・ドライバー』も未公開。

ドパルデュー(当時28歳:『終電車』『隣の女』)も若いときは意外とイケメン。
バート・ランカスターは『山猫』(L・ビスコンティ監督)の直後、スターリング・ヘイドンは『ロング・グッドバイ』(R・アルトマン監督)の直後のオファーだったそうです。
ドミニク・サンダとステファニア・サンドレッリは『暗殺の森』に続くベルトルッチ作品ですがこのときはまだ20代。

しかし若さでいちばん驚くのは監督のベルトルッチ(公開時35歳)。この歳でこれだけの大作をまかされるなんて当時からどれだけ大物だったんでしょうか。
(ちなみに『ウエスタン』の原案の1人にクレジットされた頃はまだ20代です)

そして全てのキャストの中でダントツの存在感なのが残虐なファシスト党員ドナルド・サザーランド(当時41歳)。サザーランド演じるアッチラとレジーナ(ラウラ・ベッティ)は映画史に残る極悪夫婦キャラとして永遠に語り継がれるでしょう。

しかし、あらためて観るとこんなに左(社会主義)寄りだったんですね。
ラスト付近のカメラ目線の演説にはちょっとビックリしました。
でも忘れていたくらいなので私にはあまりプロパガンダ効果はなかったようです。
というか当時の私が無知だっただけか(今もたいして変わりませんが)。イヤ、いろいろ勉強になりました。

で、モリコーネの音楽が本当に素晴らしい。
とくにタイトル曲は終盤の対アッチラ馬糞攻撃のシーンで最高に盛り上がります。
間違いなくモリコーネの代表作のひとつです。
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