菩薩

あばずれ女の菩薩のレビュー・感想・評価

あばずれ女(1979年製作の映画)
3.8
『流浪の月』をこき下ろした手前褒める訳にもいかないんだけどなんともへんちくりんな「ごっこ」の映画でちょっと面白かった。とは言えベースが未成年者略取だからやっぱ手放しで褒める訳にもいかないんだけど、監視カメラは監視を目的としないし、扉は監禁を目的としないし、梯子は辛うじて二つの世界を繋ぎ止めるだけに存在していて、二人の関係性も加害者・被害者のそれを飛び越えどんどん共犯めいて来るし、そこに形成されるのは名付けようの無い確かに平穏な空間であったと言えなくも無い。母が嫌いだと言う少女は自ら母の様な態度を取り出すだけで無く子供が欲しいとまで言い出すし、だから言って男はそれに応じる事は当然無いながら自分が子供の様になるし、あらゆる物の意味合いと関係性がその空間の中では徐々に変異していくのを楽しむ映画なのかな。いつまでも続きそうな関係はひょんな形で終焉を迎える事となるが、最後の一言はこの主演の少女自らの将来を暗示しているかの様でちょっと恐ろしい。
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