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レネットとミラベル/四つの冒険のhasseのレビュー・感想・評価

3.8
冒頭のレネットとミラベルの出会いのシーンが、ものすごくプリミティブなつくりで大好き。
『緑の光線』で夕陽が水平線に沈む一瞬の緑の光線をカメラに収めたロメールは、今度は、夜の動物たちが眠ったあと昼行性の動物らが目覚めるまで、自然が静寂に包まれる「青の時間」を切り取ることに挑戦している。
田舎暮らしのそういった貴重な自然現象や、農家のスローライフと対比されるように、後続の都会パートでは何をするにも金、金、金がつきまとう。金銭をめぐる他人とのギスギスした関係性や軽犯罪みたいなものが延々と描かれ、田舎育ちのレネットは強い意思を持ってそれと戦うが、次第に疲弊していく。
都会の生きづらさが皮肉とユーモアを込めて描かれた秀作。対置される田舎がやや理想的に描かれているきらいはあるが。
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