くまやぼのみまふさ

レネットとミラベル/四つの冒険のくまやぼのみまふさのレビュー・感想・評価

4.1
パリにもパリならではの「青い時間」はあったのかしらん。あったとすればあれだ。レネットが聾唖者になって画廊主に絵を売りに行くが、交渉は決裂、ミラベルが口喧しく抗議する。とそこへ、二人の客が現れる。十秒間ほどの静寂。(レネットは一分間と言っていたが、田舎の「青い時間」も十秒ぐらいだった)。その直後に画廊主はレネットの言い値で現金を渡す。静寂の魔法だ。ロメールが上手いのは落語の下げのようにその魔法を画廊主にも託して鮮やかに終わらせたところだ。