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タクシードライバーのbolのレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
4.1
ストーリーが刺さった訳ではないけど、
ロバート・デ・ニーロの演技力の凄さが分かる作品。
見ていけば見ていくほど、彼の演技力に引き込まれる。あと映像と音楽が素晴らしい。

元海兵のトラヴィスは戦争が原因で不眠症を患い、一日中寝付くことができない。そんな彼はタクシー会社に就職し、ドライバーとして様々な客を乗せ、ニューヨークの街を走る。

この作品で何しろ凄いと思ったのがトラヴィスの静寂と狂気の緩急。
麻薬や売春。ニューヨークの汚れた治安に嫌悪を感じながら、愚痴を日記に殴り書く。
何とも内気な序盤から、彼の中のスイッチが切り替わり、汚れた世の中を自分が正してやる、と銃を購入してからの豹変ぶりが凄い。
勝手な正義感で突っ走り、自分に酔いしれて
いる姿が狂気的で気持ち悪い(褒め言葉)

次期大統領の射殺計画やアイリスとの件、最後の銃撃戦とか。彼の行動に(全く!)理解は出来ないけれど、変貌していくトラヴィスの過程に目が離せない。

我慢して内に秘めたものが爆発すると、人間ってこういう行動に走るのかな。
トラヴィスみたいな人って現代にも絶対いると思うんだよね。

映像はかなり凝っていて絵のように美しい。
噴出した大量のウォッシャーをワイパーが掻き分ける所と、たまにメーターの映像を挟んでくる所が特に好き。映像美を飾るサックスのメイン曲が最高に洒落てる。
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