ロバート・デ・ニーロとマーティン・スコセッシ コンビの初期名作。
公開当時アカデミー賞ではなくカンヌを獲った作品なだけにポピュラーなものではなく、芸術的というかかなり視聴者を選ぶ作品であろう。
ちなみに見る前に当時の時代背景やアメリカンニューシネマとはどういうものか調べておくとより理解しやすい。
ここから感想だが先ず音楽が良い。
それと昔、子供の頃みた時は全くトラヴィスの心境が解らず「こんな人もいるんだな」ぐらいに思っていたが大人になって見返すと少し解ってしまうというか…
この映画の中ほど悲惨ではないかもしれないが、現代のあきらかに病んでいる日本の中で生きていると、憂鬱な心境に陥ったり、鬱憤や苛立ちをため込んで生活を続けている人も多いはずだ。そういう大人がみると皮肉な事だが、トラヴィスを見て何か刺さるものを感じてしまうかもしれない。あとは前総理大臣の襲撃事件とか何処となく思い出しちゃうね。単独テロ起こす人ってこういう心境なのかなとかさ。
当時、この作品に多くの信者を産んだのは時代とトラヴィスの内面が、そういった人々のニーズにマッチしたものであったからだと思う。
デニーロがイケメンなので緩和されているが流石にコミュ障すぎるだろと突っ込みをいれたくなる場面多数。
まとめるとバットマンになろうとしてジョーカーになっちゃったみたいなお話。
ラストのオチは”皮肉な事に英雄となった”という説もあるが、個人的には自分からやっといて正当防衛通用したのか疑問がうかぶ所もあるので、アイリスの両親からの手紙や切り抜きの記事は独房の壁かどこかに貼ったもので、トラヴィスの夢オチでは?とふわっと解釈している。
さすがに古い作品なので画質は荒い。
言葉を変えると味がでてるってやつです。
面白いけど話の地味さ、時代背景を考慮して3.5点。