ホッソ

タクシードライバーのホッソのネタバレレビュー・内容・結末

タクシードライバー(1976年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

今作の主人公を一言で表すならば、風俗嬢に説教をする武闘派のおっさんである。
女性とのデートでポルノ映画に連れていくズレっぷり、そしてふられた腹いせに職場に凸しにいって罵詈雑言を浴びせる身勝手さ。そしてきわめつけなのが、この逆恨みでアメリカ大統領候補の殺害計画を企てる。やばすぎるぞこいつ。
さて、主人公は、高くはない学歴・不安定でかつ低収入など、相対的貧困のいわゆる弱者男性に分類されます。主人公が独善的で感情移入できないという低評価の声があるのも、こういった部分なのかなと思いますね。
ところが、この社会的弱者のおっさんはベトナム戦争帰りということもあって、個としてはめちゃくちゃ強いのである。
今から浮気してる妻を○しますって言ってるやべー乗客と汗水1つ垂らさずにトークで乗り切ったり、夜のスラム街を涼しい顔で運転するこの不動の精神こそ彼を主人公たらしめている点なんだと思います。頭おかしい(褒め言葉)
そのため、このおっさんは風俗嬢に説教するだけではなくその風俗嬢を働かせているケツ持ち・オーナーなどその他もろもろを文字通り浄化します。そしてどの大統領ですら成し遂げれなかったスラム街の闇を一掃し、彼は知る人ぞ知る伝説の男になるのである。
もしリバイバル上映するならタイトルを「もしも風俗嬢に説教するおっさんがベトナム戦争帰りの武闘派だったら 〜そして伝説へ〜」などがいいかもしれない。いや誰も見なくなるか、、
長くなったが、アメリカのベトナム戦争撤退直後による、見通しがたちそうで立ち行かない空元気のような雰囲気や、国内で麻薬が蔓延して、治安が悪化の一途を辿っている退廃さなどがひしひしと伝わってきて非常によかったです。GTA3のリバティーシティみたいなどんよりした感じ。そして、当時13歳だったジョディ・フォスターのデリヘル嬢の演技も大変素晴らしかった。万人向けではないが、間違いなく僕の中では不朽の名作です。
ホッソ

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