主人公のトラヴィスはベトナム戦争の帰還兵。不眠症を抱えながらニューヨークの街でタクシードライバーをしています。
この映画の伝えたかったこと、たぶん私は半分も汲み取れていないような気がします。なので感想も難しく、以下まとまりのない文章が続きます。
まず感じたのは同じマーティン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロ主演の「キング・オブ・コメディ」に似ているなということ。
どちらの映画も主人公が「理想の自分」と「周りから見られている自分(現実の自分)」とのギャップが大きいことを感じ取りながらも、気付かない振りをしてもがいている、そんな主人公の苦悩が見えました。この映画においては、ベトナム戦争が影響しているのでしょうか。
本作の主人公トラヴィスの、好きになった女性との初デートの行き先のチョイスは最悪で、トラヴィスが世間とズレていることを象徴的に表していました。
また、とあることを企てるのですが奇抜な髪形と服装で現れます。なるべく目立たない格好の方が良さそうなものですが、すごく目立つ。トラヴィスは自分の存在感を示したかったのでしょうか。彼の苦悩がにじみ出ているようでした。
ますます深まる孤立。社会への不満。理想と現実のギャップへの焦燥感。これらを抱えたトラヴィスがどこへ向かうのだろうかと目が離せませんでした。
この映画はサスペンス、クライムに分類されますが、そんなジャンルにこの音楽を合わせるセンスがすごい。さらには映像もおしゃれで、クライム映画と一見ミスマッチな音楽や映像です。そして、このおしゃれ感がますますこの映画のテーマを汲み取りづらくしているようにも感じました。なんだかひっかけ問題みたい。
マーティン・スコセッシからのひっかけ問題、私なんかに解けるはずもなく結局テーマをしっかりと汲み取れきれないまま終わってしまいましたが、同時に強烈なインパクトも残してくれました。
最後に。デ・ニーロが若いのもジョディ・フォスターが若いのも予想通りでしたが、ハーヴェイ・カイテルは予想を超えてきました!しばらく気が付かず、気付いた時には「ハーヴェイ・カイテルやん!」って思わず声が出てました。