まりぃくりすてぃ

私たちの結婚のまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

私たちの結婚(1962年製作の映画)
4.2
剛にして賢明な姉。柔にして一途な妹。(牧紀子さんと倍賞千恵子さん)それぞれの女優力を基礎にした二人の肉づけが見事。姉妹ガールズトークも自然でよかった。
芳しい姉をぐるぐる巻きにする三つ巴の“遠慮がちな”求婚の、叙情性(直球)の伸びがやんわり強い。だから順調に引っ張るドラマになる。「美人薄命」から「(たった三択とはいえ)女性が主体的に未来を選び取る」へ、変わり始める時代。東京湾岸や国の形・勢いとともにね。その記録的価値。
一方、最後に明かされる「お節介チア係だった妹の本心」は、今時のラノベや少女漫画(ちゃお等)に堂々通ずる、永遠の好素材。泣けた。
大団円は迎えられなかったけれど“正解”は得た家族の四人が、最後らへんではみんな似た顔立ちに見えてきた。

一つ、問題点。職工の男性は、最初の「十円」場面をいきなりのピークに雄々しさが漸減してしまい、変に荒れたり、金色夜叉をなぞるだけのように主張が説明的だったりした。三上真一郎さんの演技が悪かったのではなく、与えられた台詞が少し硬直していたのだろう。