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転校生 -さよなら あなた-のGodfatherのレビュー・感想・評価

転校生 -さよなら あなた-(2007年製作の映画)
3.7
大林宣彦が故郷尾道を舞台に撮った『転校生』は、生涯オールタイムベスト10に入るほど大好きな映画だ。
なのでこれを監督がセルフリメイクすると聞いたときはワクワクしたのだが、見終わった感想は、うーん、という感じだった。

オリジナル版(尾道版)とリメイク版(長野版)は何が違うのだろう。
原作イメージぶち壊しってわけでもなく、むしろオリジナルのイメージを大切にリメイクされてはいるんだよね。

転校してくるのが 一美 → 一夫 という設定の変更はあるけど、セリフからなにからオリジナルのセルフパロディかってくらいそっくりにリメイクされてる。序盤に感じる違和感はそこかもしれない。
80年代には自然に感じられたあのノリが、2007年にそれをやられると浮いてしまうというのか...
それでも入れ替わった一夫と一美がそれぞれの生活を始めたあたりから違和感は薄らぎ徐々に引き込まれていった。なんでかはわかんないけど、一夫の家も一美の家も2007年とは思えないほど家の中が古臭く昭和臭全開だからかもしれないw

物語は後半からオリジナルと全然違う方向へ変化を見せる。
後半は原作「おれがあいつであいつがおれで」の映画化というよりは、大林監督が描きたい話を表現するための映画になってる。最後に大林宣彦のメッセージがテロップで出るなんてダサい演出まで入るし。

後半も話自体は面白いし、この映画のために書き下ろされた「さよならの歌」もいい曲ではある。一美(蓮佛美沙子)がこの歌を弾き語りするシーンなんて何度かリピートしちゃったし。
けど結末がちょっと悲しすぎてすっきりしないな。
オリジナルはほろ苦い青春SFコメディだと思うが、こっちはちょっと説教くさい中途半端なSFコメディ? 後半ほとんど笑えない。
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