三隅炎雄

悪名高きろくでなしの三隅炎雄のレビュー・感想・評価

悪名高きろくでなし(1963年製作の映画)
3.9
宍戸錠そっくりの食い詰めトップ屋竜巻丈次(宍戸錠)が偽札事件に巻き込まれるスラップスティックな無国籍アクション。シリーズ次作の『赤い靴とろくでなし』には完成度で劣るが、全編アクションしながら移動続ける宍戸錠はベルモンド『リオの男』より1年早い。ひたすら宍戸錠のドタバタを見せ続けるという日本映画としてはけっこう実験作でもある。概してコメディ厳しめの渡辺本では凡作扱いだがそんなことはない。渡辺は宍戸錠以外には役者がいないことを難じているが、むしろそこがこの映画の眼目、面白いところなのではないか。一人芝居まであと一歩の自己完結度で喋りそして動きまわるスタア宍戸の身体にフォーカスした、これは規格外の特異な映画だ。こんな日活アクション、他にはないだろう。
三隅炎雄

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