Ricola

リリオムのRicolaのレビュー・感想・評価

リリオム(1934年製作の映画)
3.6
原作はハンガリーの戯曲だそうで、この映画はフリッツ・ラングお得意のサスペンス作品ではない。
実際、皮肉の効いたファンタジー作品だった。

若きシャルル・ボワイエ目当てで鑑賞したが、あまり彼の良さが活かしきれた役柄ではないと個人的には思った。
横暴で自分勝手なリリオム。たしかにある意味闇を抱えてはいるのだが、もっとサイコパスなボワイエが個人的には好きである…。

それはさておき、オープニングはリリオムの働く遊園地が映し出され、とてもキラキラしている。
回転木馬の呼び込み(?)として働くリリオムは、その巧みな話術で人々を魅了する。遊園地の活気と相まって、観ているだけでも高揚感が得られる。

そして印象的な演出もいくつか見られる。
写真を撮るときにするカウントの、1,2,3で場面が切り替わるのがいい。
それもその次のショットが3が書いてある看板であるというのも、うまいつなぎである。

天国の様子や文字通りキラキラ眩いお星さまなどのファンタジックな演出には、メリエスっぽさを感じる。
とても華やかで天使たちの居る天国でも、お役所仕事は地上とも変わらないというのも皮肉である。

リリオムのどうしようもないところには少し呆れるほどだが、人間くさくてなんだか憎めない。
その憎めないという思いを、後半で特に増長された。
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