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リリオムのpikaのレビュー・感想・評価

リリオム(1934年製作の映画)
3.0
まず、ジュリーが凄い。変わり者と評されていて、まさにこんな状況ならこう反応するだろうという予想をことごとくハズしていく。マイペースで感情をあまり表に出さないながらも深い愛情を抱えていて独特な雰囲気がある。
リリオムはクソ野郎だけど愛嬌はたっぷり。あのへの字口の剽軽な表情は忘れられない。
後半が見たくて見たのに前半が思った以上に長くてちょっとキツかった。「スカーレットストリート」を見た後だったこともあり、またクソ野郎が女をいたぶる話かよ、と笑。
ハンコのシーンはコミカルでかなり面白い。遊園地の音楽が鳴り響き、黙祷で消え、ジュリーの独白が入るところもいい。
見たかった後半は前半の小ネタが回収される愉快さもあるし幻想的でさすがだった。
ラストは見た瞬間「は?」ってなったけど、「リリオム」という題名と題材がミスリードで、ジュリーの映画なんだと視点を変えたらスッときた。
愛って人それぞれに形が違っていて、一方的でも成立するものだけど、受け取る側が現れ、双方向になると形が表出してくるのかなとか考えた。
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