囚人13号

リリオムの囚人13号のレビュー・感想・評価

リリオム(1934年製作の映画)
3.8
ナチス・ドイツから逃れるべくフランス経由でアメリカに亡命したラングは人生唯一のフランス映画をここで遺している。

やはり主人公はろくでもない男、回転木馬の客引きにしては怠慢すぎるシャルル・ボワイエは流石に上手いが、本当の天使は彼の妻と娘。何より天国の美術設計は表現主義よりの脱却を伺わせ、終盤に地上に降り立った時の星型バッジの輝き具合にハッとする。かなり枯渇した映画だが、唐突とも思えるラストの美しさは見終わった後かなり時が経ってからじわじわとくる不思議な感動。

尚、モルナール・フェレンツによる同戯曲をミュージカル化したのが『回転木馬』、舞台劇ではチャールズ・ロートンやイングリット・バーグマンなど結構な大物が演っているらしい。
囚人13号

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