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リリオムのmat9215のレビュー・感想・評価

リリオム(1934年製作の映画)
3.5
神話劇、SF、サスペンスといったジャンルの立派な作品で名声を得たラングが、異国で初めて手がけた通俗劇。といっても、オーストリア=ハンガリー帝国出身の作家による原作は、ラングにとって馴染みのあるものだったことだろう。メロドラマパートはひたすら悲痛に、ファンタジーパートは軽妙にと、余裕の演出ぶりだ。会話する人々が感情を込めるとき、イナジナリーラインを無視した真正面のクロースアップが用いられるのが面白い。それにしても、この乱暴者の主人公の女性へのふるまいや、それを受け容れる妻の描写は、今日の感覚では政治的に正しくなく受け取られること間違いなし。シャルル・ボワイエは、善人にせよ悪役にせよスカしたフランス人といった役柄が多いけれど、本作では粗野な男を演じている。16年後の姿は髪型が変化して つんく にしか見えない。
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