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男たちのかいた絵のろくのレビュー・感想・評価

男たちのかいた絵(1996年製作の映画)
3.0
天上天下筒井独尊④

もともと筒井の原作だと笑えるヤクザの短編集なんだけど、これはトヨエツを二重人格に据えてなんとも悲しいヤクザ映画になっている。

と書いたけど凡百だなぁ。それほど見所がある映画ではないけど、若きころのトヨエツ肉体美が見れるのでそれだけでいいやって人はあり。

とにかくトヨエツワンマンショーである。男性である僕が見ても「ああコレは人気出るわ」っていう色気の固まり。この少し前の時代だったらそれが沢田研二だったと思うんだけど、90年代はもはやトヨエツ一人勝ちなんだなぁと再認識。

街中で歩き煙草吸うトヨエツ。裸で煙草ふかすトヨエツ。バーでお金払う時いきなり、万札二、三枚置いて颯爽と出てしまうトヨエツ。バーで伏し目がちに喋るトヨエツ。うん、これは真似したくなるわ(いや、おっさんだからしないけどさ)。

でこの手の映画はセックスシーンとジャズと酒とたばこですよ。べったべただけどそんなに嫌いではない。ある種定番のイコンもそれでいいじゃんって気になる。

あ、筒井先生、ヤクザの親分だけで出ています。カメオ出演。その他、白竜、哀川翔。女性軍なら高橋恵子に永島瑛子、さらには伊佐山ひろ子までつけちまえ。当然安岡力也も出してしまおう。もうそのメンツ見ただけで「あ、そんな映画なのね」って思ってしまうこと請け合いです。

まあ90年代のなんとも言えない「世間の反抗なんだか違うんだか」の空気に触れたかったらどうぞ。そういえばこのころってちょうど尾崎豊のころの時代だしなぁ。アウトローが恰好よかった時代なんだよ。今はその残滓しか残ってないよ、とほほ。

ちなみに筒井の暴力ものだと名作「俺の血は他人の血」も映画化されているはずなんだけど未見。いつになったら見れるものか、それとも一生見れないのか。それは神のみぞ知る、
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