みおこし

探偵物語のみおこしのレビュー・感想・評価

探偵物語(1951年製作の映画)
3.7
ニューヨーク21分署内。ここに勤めるジム・マクラウド刑事は、犯罪を心から憎み一切の妥協を許さない性格だった。今日もたくさんの容疑者がやってきていたが、その中のひとりであるシュナイダーはジムの妻のメアリーと因縁があることが分かり…。

カーク・ダグラスの代表作の1本。『探偵物語』と書いているものの実際のところは『刑事物語』が正しい表記かと思われます…。何か事件を解決していくような推理ものの作品かと思いきや、180度違うびっくりな人間ドラマに。”正義”を追求するがあまり、かえってそれがゆがんだ偏見や頑固さを生んでしまうことも。カークが演じるマクラウドの犯人に対する執拗なまでの恐喝や人格否定の言動は常軌を逸していて、もう怪演の極み。普通に手を出してしまう場面もあって、仕事に精を出すのは良いけど今じゃありえない捜査だなとのっけから驚いてしまいました。
そんなマクラウドのやり方が、私たちの想像を超えた波乱の展開を呼び、ついには彼が愛する妻メアリーも巻き込む事態に。このメアリーが本作のキーパーソン的存在で、演じるエレノア・パーカーの迫真の演技はとにかく必見です。本当の自分を押し殺して、何とか幸せを求めて生きてきた女性の葛藤に思わずウルッとしてしまいました。
また、名もない万引き女役に扮しているデビューしたてのリー・グラントも存在感抜群でした。

ほとんどが警察署内で展開されるのに、最後まで目が離せない秀逸な脚本に唸る秀作。さすがのウィリアム・ワイラー監督作です!
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