【第24回アカデミー賞 監督賞他全4部門ノミネート】
ウィリアム・ワイラー監督が同名舞台を映画化した作品。原題は「Detective Story」であり、正しくは「刑事物語」だろう。
元が舞台ということで基本的にはニューヨーク21分署の中のみで進む群像劇的な作品。タイトルから想像されるようなドンパチはほとんどなく、意外としんみりとした物語。
人を人たらしめるのは思いやりと寛容さ、そして愛である。最初は群像劇的に分署に来る犯した罪も状況も異なる人々を描き、中盤から異常なほど頑なに正義にこだわる刑事の妻がどうやら事件に関わりがあると分かり彼の正義感が揺らいでいく。ラストは収まるべきところに収まったという感じで非常に上手い。
ウィリアム・ワイラーのユーモアも交えた静かで的確な演出手腕が光る優れた作品だった。