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探偵物語のlemmonのレビュー・感想・評価

探偵物語(1951年製作の映画)
4.4
ある警察署の一日の出来事。忙しない、たった数時間の間にドラマがひしめく。

主人公の刑事のバックグラウンドだけでも複雑だが、彼の妻に、彼の同僚に、たまたまこの日に捕まった複数の犯人たちと、ネタは尽きない。なのにこれがひとつの物語としてまとまり、ラストに向かう。秀逸です!

この映画の影の立役者はリーグランド。息つかぬ展開にとてもよいタイミングでユーモアを注ぐ。これ、題材からしても彼女の役は失敗する方向に行きかねないが、心優しいおっちゃん刑事と相まって、映画全体を優しく包んでいるかのようでした。

とは言え、軸になる刑事と妻の物語はただただ苦く、ダグラスとパーカーのやりとりはほんと胸が痛い。効いてくるお互いのバックグラウンド。人はどう生きてきたか、過去は背負わなければならない。だからこそ今を大事に、でも簡単に許すわけにもいかず、というか許せる度量のある人間なんてごくわずかなわけであって、、、あー複雑。


取り返しはつく。ただ取り返すにはその何倍もの超えなければならないものが出てくる。それは相手だけじゃなく自分自身頭の中にも。肝に銘じたい。
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